
目に見えなくても、常に生活の中で私たちの身近にある香り。古くから様々なエピソードとして残っており、伝えられています。また、バラの香りに魅了された歴史上の人物も多く、数あるエピソードの中から有名なものをご紹介します。
紀元前48年、クレオパトラはカエサルにエジプトの統治をゆだねられました。それは、クレオパトラがバラの花びらを寝室に撒いて、彼を誘惑して手にした地位だったそう。なんと、膝の高さまで花びらを敷いたという伝説が残っています。
一見、ミイラと香りは無関係のように思えますが、実は、古代エジプトでは、優れた殺菌作用をもつ「ミルラ(没薬)」と呼ばれる精油が、ミイラを作るときに使用されていたのです。これが「ミイラ」の語源となっているのです。
西暦紀元後、強大となったローマで、皇帝たちは贅沢の極みをつくしていましたが、特に、皇帝ネロのバラへの執着はすごいものでした。
晩餐会では、部屋をバラの花で埋め尽くし、天井からバラの花びらを土砂降りの雨のように降らせたり、バラの香りをつけた水をテーブルに降り注がせたそうです。その重みで来客が窒息したという話まで残されています。また、ぶどう酒にはバラの香りをつけて、贅沢に振るまったのだとか。
さらに当時は、食前と食後には入浴をするという習慣があったので、湯の中にたくさんのバラ水をいれ、湯上りにはローズオイルを体に塗らせたとまでいわれています。そのため、膨大なお金が動いていたことは想像ができますね。
香りに関するキリストの生誕にちなんだ逸話が残っています。キリスト生誕時、3人の賢者が星に導かれてやってきて、幼いキリストに乳香や没薬などの香料を捧げたそうです。そのため、現在もヨーロッパで定番のクリスマスプレゼントは香水なのだそうです。
奈良時代では仏への供え物だった香りですが、平安時代になると、生活環境を整えたり、身だしなみとして活用するようになりました。室内・髪などに香りを焚きこんで取り入れていたようです。人の香りを覚えることは、教養のひとつとされていました。また、オリジナルの香りの優劣を競うゲームも行われ、これが後の香道に発展したともいわれています。このように、日本も古くから香りと深く関わり、たしなんでいたことがうかがい知れます。
