蓬田先生のバラのコラム

女性にもたらすバラの恵み

“女性にもたらすバラの恵み”
 バラの香りやその効果については、古代ギリシャのテオフラストス(B.C.372~B.C.288年頃)の『植物誌』や、古代ローマのプリニウス(23年頃~79年)の『植物誌』には既に記述があります。ナイルの女王クレオパトラは、アントニウスやシーザーをバラの花びらを膝の高さ(約30cm)まで敷きつめた部屋に導き、香りで天性の美貌と知性的魅力がいっそう増し、歴史を動かす力となったと言います。以後、中世の歪められた宗教下の暗黒時代でも聖母マリアの白いバラが栽培され、毎朝祭壇に奉られました。有名なボッティチェリの「春(プリマベーラ)」や「ヴィーナスの誕生」には、花の神フローラとバラが象徴的に描かれています。
 17世紀の薬物学者N・カルペッパーによれば「乾燥したレッドローズの花は、月経過多・吐血・その他の出血に対してチンキや粉末にして与えるとよい。ワインを加えたローズの煎じ茶は、頭痛・目・耳・喉・歯茎の痛みによい。下腹部や子宮の不調にもよい」と紹介されており、その時代のバラの使われ方、そしてバラと女性との深い結びつきが伺えます。
 そして私達の研究から、女性を被験者としてバラの香り成分(ティーローズ・エレメント)に鎮静効果、ストレス緩和やスキンケア効果などを実験から検証しています。これらは、他の花の香りに比較して極めて高い効果を示しました。
 このようにバラの香りは、女性との関わりが深く女性のイメージに相応しい花として愛されてきたのです。今日の科学的知見を知らない古代の女性たちも、バラの香りの効用を日常的に実感していたものと思われるのです。

 おりしも5月、6月は、バラの開花シーズンです。お近くのバラ園に出かけられ、香りを思う存分に嗅いでみてください。そして翌日の鏡を見て、香りの効果を確かめるチャンスでもありますね。



<お薦めのバラ7種>
芳純、パパメイアン、ダブルディライト、レディヒリンドン、ブルームーン、
デンティベス、セントセシリア


パフューマリー・ケミスト 蓬田勝之